ニシナリから考える

<反貧困学習>(5)西成学習
1.jpg この西成学習は、「反差別学習」と「反貧困学習」の接合としての役割を果たしている。西成学習は3段階からなっている。
 第1段階として「西成差別について考えよう」で「西成」総体としての被差別の立場からくる理不尽さ。(http://npokama.org/kamamat/bunsitu/mamo/f1panf/kodomo.htm
 第2段階として「西成のことを知ろう」でホームレス問題(参考文献は生田武志著「ルポ最底辺」)と部落問題について学習。釜ヶ崎暴動については今年18年ぶりに起こったのでその背景も説明が必要だ。部落問題の歴史的背景として、「死牛馬の処理の権利をもつ」としたが、その代わりとしての役負担については触れていない。また、「未来世紀ニシナリ」というドキュメンタリー映画ができたのでその映像の一部を教材化したいと思う。(http://www9.ocn.ne.jp/~flug/img/nisinari.html
 第3段階については省略します。

西成差別について考えよう
 今回と次回で差別について考えます。差別というのは、日常的には見えにくいものですが、(あ 結婚 )や(い 就職 )という人生の節目にあらわれてきます。いろいろな差別が今でも根強く残っていますが、今回は西高に通う私たち全員に関わる西成差別について考えます。まずは、下の漫画をみてください。これは みやうち沙矢さんの「勉強しまっせ」という漫画で、別冊少女フレンドに連載されていたものです。みやうちさんは現在でも活躍している漫画家です。最近では「ほんまに関ジャニ∞!!」という漫画を描いています。

 みやうちさんは、西成区にあるライブハウスに通っていて、西成が好きになり西成を題材にした漫画を描き始めました。しかし、その漫画のせりふの「西成」の説明として、出版社の編集者が「※大阪の地名 気の弱い人は近づかないほうが無難なトコロ」と欄外に書いたのです。

 この漫画を読んだ西成区の中学生がこれはおかしいと先生に連絡したことがきっかけで発見されました。これがそのときの中学生の意見です。

 絵を見ていたらすごい楽しそうな漫画なのに、読んでみたら、ごっついえげつないことが書いてある。「西成」ってどうゆところか知らない人はへんな勘違いするようになる。でもうちらはいったいなんなん!人に「西成の奴や」とか言われてどんな思いをするか!うちはどこよりも西成が大好きやから「ほっとけや」とかいっぱい言ってやる。でもな、そんなきりがない。これからうちらが大人になってゆくたび、他の人にひどいこと言われるかもしれへん。どうしてくれんのよ。(中略)漫画でこんなこと書かれたら絶対差別へるもんちゃう。増えるもんや!西成はぜんぜん怖いとこじゃない。いっぺん見に来たらいいねん。どこもいっしょじゃ!!

 あなたはどう思いますか?書いてください。


西成のこと知ろう 

★ホームレスの問題
 西成にはどうして、ホームレスが多いのでしょうか?それは、JR新今宮駅の南側にある(ア あいりん地区 通称 釜ケ崎 )と深いつながりがあります。

 釜ヶ崎のおっちゃんたちってどうしてあそこにいっぱいいて、何してるの? 
 
 あのおっちゃんたちはさまざまな理由で(イ 日本全国 )から集まってきている(ウ 単身 )の(エ 日雇労働者 )です。約(オ 2万 ) 人のおっちゃんたちが釜ケ崎で生活しています。 毎朝、手配師と呼ばれる人が現場(ほとんどが建設現場)で働く人を探しにきます。日給は景気や仕事内容にもよりますが、だいたい(カ 1万 )円です。飛行場や高速道路などの大規模な建設現場をはじめ近畿圏の多くの現場はあそこのおっちゃんたちの労働でなりたっています。まさに、日本の経済を(キ 底辺 )で支えてきたのです。釜ケ崎には(ク 200 )軒の簡易ホテルがあり、おっちゃんたちはそこで寝泊りしています。

 働いてるのにどうしてホームレスなの?

 おっちゃんたちの仕事はいつもあるわけではありません。(ケ 景気 )が悪くなったら仕事がありません。季節や天候によっても仕事が急に減ってしまいます。それに、厳しい仕事のために(コ けが)や(サ 病気) になったら働けません。また、年齢のため現場では働けなくなる人もいます。そのような人たちが路上で生活せざるをえなくなり、ホームレスとなります。そして釜ケ崎周辺の西成区の路上で生活するようになるのです。それでも自分たちのできる(シ 廃品回収)などの仕事をして生活しています。路上生活となってしまうと(ス 住所 )がないということで福祉の対象外となり、生活保護を受けることもできません。大阪市では毎年(セ 200 )人以上が路上で死んでいます。

 どうして「西成 こわい」というイメージが全国的に広まってるの?

 おっちゃんたちは、建設会社(つまり日本社会)にとっては、とっても都合のいい存在です。仕事のあるときだけ働かされて、仕事がなくなれば切り捨てられるのです。こんな自分たちの厳しい生活や路上でだれかに襲われて相談にいってもとりあってくれない「警察」にも不信感をもっていて、そんな不満が爆発してしまうことがありました。
 1961年 交通事故にあった日雇い労働者を西成警察署が即死と判断し、歩道に放置したまま現場検証を続けたことに抗議したことから 「暴動」に発展しました。
 1990 年 西成署の巡査長が暴力団のノミ行為(私設の賭場)を見逃し、警察の手入れ情報を提供するのと引き換えに1000万円以上の賄賂をもらっていて逮捕されたことに抗議したことから「暴動」に発展しました。 これには直接関係ない若者も加わりました。
 これらがマスコミ(テレビや新聞)にセンセーショナルに全国に放送されたのです。おっちゃんたちの日頃の生活背景などはほとんど知らされていないのに、「暴動」となってしまった映像だけを見た全国の人たちはどう「釜カ崎=西成」のことを思ったでしょうか?
 1990年以降はこのような「暴動」は起こっていませんがこの記憶は人びとの中にイメージとして焼きついてしまったのです。

 ホームレスの問題についてみんなどう思う?
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