炭鉱のカナリア

 生徒の生活環境は従前より厳しいものであったが、「バブル崩壊」以降に生まれた生徒たちはさらに厳しい生活を強いられてきている。さらに、労働市場の規制緩和で政策的に創出された非正規雇用者の増大、若者の貧困化という社会状況の中で、これまで実践してきた人権学習を「反差別」から「反貧困」という軸で再構築する必要性に迫られた。そこで、07年度より1年の総合学習の学習内容を「反貧困」を軸にした人権総合学習へと再構成していき、2年間の実践を経て「反貧困学習」の7つの視点と20テーマの教材を作成してきた。
 私たちはこの2年間「反貧困学習」の教材を通して生徒と「対話」し、生徒一人ひとりが発する生活の滲んだ声に耳を傾けてきた。学習を進めていくうちに、私たちはこれらの生徒の声が、日本社会における『炭鉱のカナリア』の声として聞こえるようになった。釜ヶ崎に代表される寄せ場が「日雇い派遣」という形で全国化したように、本校のように生活環境がより厳しくなっている生徒たちが、日本全国で増えているのではないだろうか。よって「反貧困学習」の実践は、現在の状況下ですべての学校で求められているのではなかろうか。このような思いから、まだ学び合い途上である「反貧困学習」の教材を、敢えて出版することとした。発行予定日は6月18日。
 
Ⅰ反貧困学習の教材──開かれた実践をめざして
 教材1 生きる力をもつ子どもたち
 教材2 「ネットカフェ難民」からセーフティーネットを考える
 教材3 「ワーキングプア」からセーフティーネットを考える
 教材4 シングルマザーについて
 教材5 「ホームレス中学生」から考えよう
 教材6 貧困ビジネスについて
 教材7 ハウジングプアについて
 教材8 高校生の「無保険」問題を考える
 教材9 日雇い派遣について
 教材10 「こんなときはどうするの?」──労働者を守る法律や制度
 教材11 突然、解雇されそうになったら?
 教材12 西成差別から野宿問題へ
 教材13 不公平なイス取りゲームから考える
 教材14 社会的排除について考えよう
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。